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 2009年 第13号 もくじ

1.注目の論文 2.安全な実験のために 3.館長の本棚 4.編集後記

有機化学美術館更新情報: (分館)知の頂点へ紛れ込んだ男。


 ☆注目の論文

・全合成

Total Synthesis of (+)-11,11'-Dideoxyverticillin A
Justin Kim, James A. Ashenhurst, Mohammad Movassaghi
Science 324,238 (2009) DOI:10.1126/science.1170777

 MMさんより推薦。酸化度の高いアルカロイド骨格を見事に攻略しています。

Enantiospecific Total Syntheses of Kapakahines B and F
Timothy Newhouse, Chad A. Lewis and Phil S. Baran
J. Am. Chem. Soc. ASAP DOI:10.1021/ja901573x

 Baran新作。これが12段階でできて、グラムスケールでできるというのが信じられない。

・材料科学

Longitudinal unzipping of carbon nanotubes to form graphene nanoribbons
Dmitry V. Kosynkin, Amanda L. Higginbotham, Alexander Sinitskii, Jay R. Lomeda, Ayrat Dimiev, B. Katherine Price & James M. Tour
Nature 458, 872 (2009) DOI:10.1038/nature07872

Narrow graphene nanoribbons from carbon nanotubes
Liying Jiao, Li Zhang, Xinran Wang, Georgi Diankov & Hongjie Da
Nature 458, 877-880 2009) DOI:10.1038/nature07919

 カーボンナノチューブを切り開き、リボン状の細長いグラフェンを作る技術。面白いことに、過マンガン酸カリウムを用いる化学的な手法、ナノエッチングを用いる物理的な手法という、全く違う手段が同時に発表されています。グラフェンはかなり面白い性質を持つので注目されていますが、また新しい発見がここからぞろぞろと出てきそうです。


※興味深い論文などありましたら、mmorg-chem.orgまで(@を半角に変換してお送り下さい)情報をお寄せいただければ幸いです。反応・全合成の他、医薬品合成・超分子・材料・天然物化学などなど何でも結構です。

このほど、筆者が作成に関わりました「創薬化学カレンダー」を発売元からいただきましたので、情報をお寄せいただいた方にプレゼントしたいと思います。3報お送りいただいた方、先着8名ということで。できれば論文の内容に関するコメントもお願いします。どっと一気にまとめて送ってこられると大変なので、できればぼちぼちと。


 ☆安全な実験のために

 DMSOに70%過塩素酸を滴下していたところ、光を発して激しい爆発が起きた。

 DMSOは安定な溶媒というイメージがありますが、以外に反応性に富んでおり、酸塩化物や強塩基、アジ化ナトリウム、酸化剤など各種試薬との混合で爆発など危険を引き起こします。他の溶媒に溶けないから、といって安易にDMSOを使うと、思わぬ危険がありえます。

(参考:有機化学実験の事故・危険―事例に学ぶ身の守り方 p.24より)

 ☆館長の本棚

 Drug Truths: Dispelling the Myths About Pharma R & D (John L. LaMattina 著 2892円)

 「医薬の真実」と銘打ったこの本、著者はファイザーR&Dのトップであった人です。内容的には、「製薬業界の欺瞞を暴いた」著作、「ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実 」に対する製薬業界からの回答という色合いが濃い本です。製薬企業は効きもしない薬を、強引な拡販戦略で売りつけているのか?製薬企業は、単にアカデミアの成果を横取りして商品化しているだけなのか?巨大製薬企業の時代は終わるのか?「ビッグ・ファーマ」で告発された事項に、Mattinaは研究者・経営者の立場から回答を与えています。

 この本は今のところ英語版しか出ていませんが、あまり文学的な言い回しなどはしていませんので、筆者にもなんとか論文を読むような調子で読むことができています。元NEJM編集長vs元ファイザーのトップ、両者の主張を読み比べてみるのも面白いでしょう。


 ☆編集後記

 いろいろ忙しく、縮小版にてお送りいたします。なかなか時間が取れず、引っ越し先なども検討中なのですが、さてどうしたものか。

 ともかく14年ぶりに大学に籍を置くことになったわけですが、やはりいろいろと凄い人がいて、面白いといえば面白いですね。ひとまず最長でも3年間限定の職場ではありますが、自分にできることは何か、何をせねばならないか、しっかり考えて進んでいきたいと思っております。今のところ知り合いも多くないので、できれば東大所属の皆様、周辺におられる皆様など、声をかけて飲みにでも誘ってやっていただければ幸いです。

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